現象
坂道を下って左に曲がる。
こんどは緩いのぼり坂。
細い山道をゆくと、幅広な石段がまっている。
えっこらさ。よっこらさ。
もうすこし、えっこらさ。よっこらさ。
天空の世界が、前方に、どしゃっと広がる。
ほら、相模湾の彼方に、逗子マリーナが見える。
ウインドサーファーが、海上を行く
ひゅー、ひゅー。風に波に、滑っている。
トンビがひとり高空をゆっくり旋回してる。
ピイー、ひゅるる、ピイ、ひゅるる。ピイピイ、ひゅるん、ピイひゅるん。
おいらは、いま、奈落にいる
いや、天国にいる。
あのオヤジ。
浜辺の風景はいつも同じ。
女学生?、高校生か?
二人組。三人組。五人以上のグループ。まあ、そんなもん。
とにかく、ウルサイ。嬌声というのか、やたら喚く。子宮が絶え間なく、発声運動を発生する感じ。
外国人観光客。
インバウンドとか言われ、海外からの訪問客。こちらは騒音を発生せずウルサクないが、眼光鋭く浜辺を全面チェック。異国情緒を満喫する姿態が原色模様。まあ、いいんだが、土地の自然な景観にそぐわない。
撮影機材を完備した土地のあのオヤジ。
ほぼ毎日、女学生グループをつかまえて、写真を撮ってあげたりチャットを楽しんでいる。
そんなふうに外界は存在している。